民間病院(加納総合病院)視察(2月12日)

 2月12日、大阪市北区にある加納総合病院に視察に行きました。
大阪市内には4つの市民病院があり、そのいずれの病院も毎年、赤字を出しており大阪市にとって負担となっています。そこで今回、「救急医療」の重要性を認識し、地域医療に貢献されている加納総合病院の院長に、民間病院の視点から現在の医療体制についての話を伺いました。院長からの説明

 大阪市の4つの市民病院合計で年間113億円の赤字を出しています(平成19年度)。
よく、「都島区の市立総合医療センターは黒字」と云われますが、これは日本一の繰入金約79億円を含めてのものであり、実質は約68億円もの赤字を出しています。
これを市民一人当たりに直すと、年間4301円、市民が市民病院の赤字を負担していることになります。また、救急医療という観点から見ると、救急搬送数の80%以上を民間病院が占めています。

 少々乱暴な言い方をすると、「大阪市のような行政が病院を行う必要があるのか?」となり、現に院長も仰っていましたが、本当にそうなんでしょうか?
 救急医療について言うと、救急告示病院数は平成14年から20年にかけて減少しています。中でも、小児救急は民間病院の撤退が多く、結果として公立病院が果たしている役割が大きくなっています。
「平野区で夜間、子どもに何かあると受け入れ先の病院がなかなか見つからない」という事が多々あり、このような経験をされた方もいると思います。ではなぜ、民間病院は救急医療から撤退をするのか?
救急医療の問題とは何でしょうか?これを解決することによって、院長の言う「市民病院はいらない」も納得できるものになると思います。救急医療の問題とは、

  1. 現在の診療報酬では、二次救急に関して手当てがない。つまり、やればやるほど赤字。
  2. 地方自治体の財政破綻で救急行政に補助金等がつかない。
  3. 深刻な医師不足。救急当直をしたがらない医師の増加。
  4. 未収金の増加。これは、救急搬送患者の約1割。
  5. モンスターペイシェントともいわれる暴力や暴言を吐いたり、不当な検査、診療等を要求する患者の増多
  6. マスコミの病院パッシング(医療現場を理解しないでの報道、発言)

が挙げられます。

 これらの問題点を解決するには国、地方自治体、そして私たち市民の意識を変えていく必要があるでしょう。
そうした中、国においては、平成21年度から救急医療を担う医師の支援に20億円の予算がつけられます。
また、三次救急(救命救急センター)に二次救急患者の搬送、場合により一次救急患者の受診の増加など、高次の救命救急機能が麻痺している原因は、私たち市民にもあると認識しなければならないでしょう。
一方、医師の側にも、訴えられることを恐れて、「救急など命に関わることに携わりたくない」という意識があります。
確かに、医療現場を理解せず、1つの問題で感情的に一斉に『袋叩き』にするマスコミの報道姿勢には大きな問題点があります。また、「民間の病院はボランティアではない。利潤を求めるのは民間ゆえ、当然」と言います。
確かにそうかもしれませんが、「一体なぜ、医師になろうと思ったのか?」医療の世界に入る動機を今一度、再考する必要があるのではないでしょうか?

 本年2月、大阪市は市民病院の「改革プラン」を発表しました。その中には、北市民病院が平成21年度中に 民間に無償譲渡されることも含まれています。莫大な不良債務を解消するための「改革プラン」ですが、現在、民間病院が様々な理由から撤退している救急医療などにおいて、公立病院が果たしている役割を考慮すると、「赤字だから要らない」ではなく、公立病院の運営方法の改善に力を注がなければなりません。

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